star☆dust

「えっ、好きな人いんの?」

ほらぁ!喰いついてきちゃったじゃんか!!

「い、いない・・・・と思う」

「ブッ、なんだそれっ」

ほら、そうやって笑うのが好きなんだよ。その笑顔を失いたくないから、言えないんじゃんか。

「そだっ、北原は、好きな人なんかいないの?」

ほんのちょっとの、興味で聞いてみた。でも、自分でまいた種だったのに、自分で傷つくことになるとは思わなかった。

「いるよ・・・。でも、その子は、手が届きそうで届かない存在なんだ」

ズキッ・・・

痛っ。痛いよ・・・心臓がズキズキする。今まで何回かあったけども、こんなに痛いのは初めてだよ・・・。

「そ、うなんだ!いいな~ぁ、青春を謳歌できて!!」

私なりの、精一杯の、強がりだった。

「なんだそりゃ。あっ、お前んち、ココだよな?」

えっ、あっ、ホントだ。いつの間にか着いてたんだ。楽しい時って、すぐ終わっちゃうんだなぁ。あり?でも、なんで私の家知ってるんだろう・・・。まいっかぁ。

「うん。ありがとう!!じゃぁ、明日ね!!」

「おう。忘れもんすんじゃねーぞ」

私は幼稚園生かっつーの。

「しないし!じゃ、気を付けて帰ってよねっ!」

「ん。じゃあな」

楽しかった・・・・けど、やっぱり、痛いよ・・・。

「好き」たった2文字なのに、なかなか言えない。たぶん、日本語で1番難しい単語なんじゃないのかな?って私は思う。





ピピピピピ・・・・

ブー、ブー、ブー・・・・

携帯のアラームとバイブが鳴った。

あー、めんどくさい・・・・また起きるようだ。私は、この時間が1番キライ。

「キャーーー!!」

えっ?!ママの声だ!

「ママァーー!!どうし・・・・キ、キャーーーーーーーーー!!!!」

えっ?!美結《みゅう》(妹)の声?!

これは、行かないとまずいかも・・・。

「ママ!!どうしたのっ?!」

カサカサカサカサ・・・・

ま、まさか、この音は・・・・

そして、私の目の前に、奴が現れた。

「キ、キャーーーーーーーーーー!!!」

田嶋家に、3人の叫び声が木霊していたのだった。