「先輩。初日から後輩いじめですか?」

ほんとに、誰かきた・・・

「あ?なんだてめぇ」

「1年の北原俊也です」

そのとき、私の心臓の高鳴りは半端なかった。きっと、ビルの屋上のはじっこ10センチに立った時以上(そんなとこ立ったことないけど)にドキドキしてたと思う。

「おい、行くぞ」

「え、あ、うん」

私は、北原のあとを追った。

「あのさ、なに入学早々ナンパされてるわけ?」

えっ、ナンパ?!まさか、あれがナンパっていうわけ?!

「まさかの、ナンパを知らなかった。なんて言わないよな・・・?」

「・・・・」

そのまさかなんですっ!

「図星・・・ま、しょうがねえか。お前だもんな」

「それ、いい意味なのか悪い意味なのかが、よくわからないんですけど・・・」

「まぁ、いい意味ととれ」

北原は、結構な毒舌だけど、本当は優しいんだ。小学校では、ずいぶんモテてたよな~。

「亜莉咲、何組?」

「1年4組だよ」

「はっ?!また一緒かよ」

「悪かったねーだっ」

あ、ヤバい、また私の悪いクセが出てしまった・・・。

「あ、そういえばさ、大條も一緒だったよな」

ズキッ・・・

こんなこと思うのも変だけど、やっぱり、北原の口から悠芽の名前が出ると、心臓が痛くなるよ・・・。

「うんっ、また悠芽と一緒でよかったよ!」

私は、精一杯の笑顔で言った。

そして、1年4組へと向かった。




ついに、この扉を開けると、中学生なんだっ!!(まぁ、中学生になってるんだけどね)

せー・・・

ガラッ

「えっ?!」

なんか、勝手に開いちゃったんだけど?!まさか、中学校って自動ドアなわけ?!

な、わけもなく、開けた張本人は北原。

「なんで開けちゃうわけっ?!」

「はっ?誰が開けてもドアにはかわりねぇだろうが」

私の夢の第一歩がぁ・・・・。