「私…自分の記憶なんて消えてしまえば良い…そう思いました…」 ポツリと呟いた私に、ユーシスは瞳を見開く。 「私の生きて育んできた記憶は…今の私にはただ辛いモノでしかありません…」 二人を失った…… 絶望感にただ一人涙した記憶… とうの昔に失われていた希望をひたすら信じ、永遠に叶う事の無い夢に縋って… そんな記憶しか無い… そんな悲しい記憶なら… 「いっそう…忘れてしまえたら良かった……」 ―ポタンッ 涙が頬を伝い、地面へと落ちたのがわかる。 それでも…この涙を止める事は出来なかった。