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「どうして………」
さっきまでここにいたんだ。触れられる距離に…
俺は目の前にいたはずの好きな人を失った。
目の前にはただ戦いの惨状だけが残っている。
「フィリア……なんで…」
自分の両手を見つめてすぐに強く握りしめた。
「受け入れてたはずだった…。フィリアが世界の為に消える事、フィリアの決めた事だからって…」
でも俺は逃げてたのか…
フィリアが決めた事。
それを応援するのが俺に出来る事だって…
「実際は違う…。俺はこんなに…後悔してるんだ…」
引き止めなかった事、何が何でも一緒に同じ時を生きたかった。
なのに……
「失ってからフィリアがどれだけ大きかったか…わかった…」
フィリアは俺自身なんだ。
フィリアが消えたら俺の一部が消えたみたいにぽっかり穴が空いてる。
「フィリア…俺にも翼があったらいいのにな…」
俺は空に手を伸ばした。
少しでも届くようにと背伸びもした。
なのに………
「何でこんなに高くて遠いんだよ…くそっ…」
見上げた青空が歪んでいく。それが自分の涙だと気づくのに時間がかかった。
「翼でもなきゃ、フィリアのとこ…行けないじゃんかよ…」
ずっと傍にいて守ってやるって…
「約束…しただろっ…」
後は声にならなかった。
ただただ失ったものが大きすぎて、何か大事なもの全てを失ってしまったような気がした。