「これくらいで、いい気になってもらっては困るよ。ロイ」
ロストがロイ兄さんの名前を呼んだ。
ロイ兄さんは無言で頷く。
「…………………」
無言のままロイ兄さんは私とユーシスに片手を突き出す。
―兄さん…
「…兄さん…そんな目で私を見ないで下さい…」
ポロポロと涙が溢れた。
冷たくて刺さるような兄さんの目が悲しかった。
「兄さん…どうしてしまったのですか?」
兄さんは優しい瞳していた。でも今は……
感情なんて見えない。
兄さん……
私は…兄さんと戦いたくなんかないのに…
「白銀のアストラル…」
私はユーシスを守る為に兄さんへと手を伸ばした。
「馬鹿!!もう戦わなくていい!!俺がやるから!!」
ユーシスは傷付いた私の体を抱きしめながらそう叫んだ。
私は首を横に振る。
「…ユーシスを…守り…たいんです…」
「フィリアっ…」
いつも守ってくれたこの人を、守りたい。
傷付いてほしくない。
たとえ…兄さんと戦う事に…なっても…
「…ふっ!!!」
―バァァァンッ!!!
力がぶつかり合う。
何度もぶつかり合っては力が相殺する。
兄さんも私も肩で息をしている。お互いに消耗が激しかった。


