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―シルビア海


私達はグランの船に乗ってアデルシア帝国へ向かっていた。


理由は一つ。
ロイ兄さんの居場所がアデルシア帝国にあるとテレサが突き止めたからだ。


「まさか、またあそこに行かなきゃなんねーとはな…」


物思いにふけりながら、ダンテが呟いた。


ダンテ…
あそこはダンテの心を傷つけてしまうのですね…


「…あの……」

「あ?なんだ、フィリア」


私は躊躇いながらもダンテに話しかける。


何か…
ダンテを元気づけられないでしょうか…


「あの…ダンテも、一人じゃないです…」

「…あ…?」


ダンテは一瞬目を見開き、それから盛大に吹き出した。


「ぷっ…くくくくっ…。何だお前、慰めてんのか?」

「あ…は、はい…一応…」



何かを間違えたのでしょうか…?
何故ダンテは笑って…?


うーんと悩んでいる私にダンテは優しい笑みを浮かべた。


「不器用なくせに変な気回すな。お前はアイツだけ見てろ」

「あいつ…ですか?」


ダンテが顎で指したのはそわそわしながらこちらをちらちらと見るユーシスだった。


「ユー…シス…?」

「よそ見してっと……」


―グイッ

「!!!!」


ダンテが私の顎を捕らえグイッと顔を近づける。