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誰ひとりとしてあの場にいた人間は生き残らなかった。
巫女に味方し、長に立ち向かった者も、最後まで敵となった者も……
ただの骸と成り果てていた。
外には雨が降っている。
私達は船に乗り込み、島を出た。
ユラさんとアイリスは同じ土の下に眠っている。
どうか…二人の旅路が何事も無く終わりますように…
そう祈って船の上から島へと手を合わせる。
ユラさんの力の代償は…命そのものだったのかもしれない…
ユラさんが命をかけて守ったモノが私なんて……
私はいつも……
何も出来ないのですね…
それでも祈り続ける。
自分の気が収まらなかったからだ。
不意に雨が止んだ気がした。
顔を上げると、ユーシスが傘をさして立っている。
「…一緒に…帰ろう。フィリアは幸せにならなくちゃいけない」
ユーシスの言葉に私は俯く。
「…誰かを犠牲にしても…ですか……?」
「犠牲じゃない。あの人が命がけで守った命だから…フィリアが生きてくれる事を願って託した命だからだ」
私が…生きる為に……
ユラさんが繋いだ命……
「共に生きて行こう…フィリア」
ユーシスは手を差し出す。私はゆっくりとその手に自分の手を重ねる。
ユーシスは優しく笑いかけてくれた。
ユラさん…私………
この人達と生きていきます。
あなたが繋いだこの命の為に…………