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「……っ……」


いつの間にか閉じていた目をゆっくりと開ける。


「…フィリア……」


どうして…でしょう…
ユーシスの声が聞こえます…


「やっと…触れられる…」


ギュッと誰かに抱きしめられる。


ユーシスの…匂いがします。懐かしい温もりも…


私はゆっくりと顔を上げる。あのエメラルドの瞳と目が合った。


この瞳と初めて目を合わせたのはあの満開の花に囲まれ、優しい風に包まれていたあの場所でした…


「…ユーシス…ですか…?」


まだ目の前にいるのが信じられない…


幻ではないかと不安になる。



「ははっ…変な事聞くなよな」


ユーシスは苦笑いを浮かべ、私の微に手を添える。


「俺はここにいる。ちゃんといるぞ、フィリア」


笑顔を浮かべるユーシスの笑顔は本物で、触れられた微には確かに温もりがある。


あぁ…やっと……
触れられました……


「っ…ふっく…うぅ…」


嗚咽を我慢してもせき止められずにこぼれてしまう。


「…フィリア、自分の力も存在も否定するな。俺はフィリアの全てを大事にしたい…守りたいんだ」

「…沢山の人の命を奪って、ユーシスや皆を危険な目に合わせる力を…否定しないなんて…」


出来ない……
私はきっと…この力を憎んでしまう。


私は…弱いですから…


「その力は…本当に傷付けるだけの力か?その力は、城の皆を救ったじゃないか!!」


「それは…」

「それに…その力がなければ、俺達は出会えなかった」


「!!」


この力がなければ…
この力があったから……


ユーシスと出会えた……


「…俺は…フィリアの力に感謝してる。フィリアと出会えたから…こんなに人を愛しいと思える」


…ユーシス………


この力を…疎まないでくれる。私の一部だと言ってくれた…


「私…も……」


ユーシスの傍にいたい。
そう思える人と出会わせてくれたこの力を…


この力も含めて受け入れてくれたあなたと出会えてよかった。


「私も…ユーシスに出会えてよかったです…。この力も…少しずつ好きになりたいです」


だって……


「ユーシスと出会えた事まで、否定したくないですから…」


「…フィリアっ…」


ギュッと掻き抱くユーシスの痛いくらいの腕の強さが心地好い。


私…一人ではないのですね…


「愛してる…俺の剣も、心も、体も…フィリアにあげるから…」


「…フィリアも…俺に心も…体も…くれるか…?」


その真剣な瞳を見つめ返せば、その中に私が映る。


私に…あげられるモノがあるのなら……


「私の全ては…ユーシスに…」


私達はお互いの存在を確かめるように抱きしめ合う。



自分の居場所を見つけた瞬間だった。