「恩に着る」 俺は頭を下げた。 聡明で美しい人だ。 先の世を見るからか、それともこの人の人柄か…… どこかフィリアに似ていた。 その儚くて消えてしまいそうな…… 「…そなたはあの子の心に唯一触れられる。救いたいと乞い願うなら覚悟を捧げよ」 「それはどういう…」 「そなたの優しさだけがあの子の氷を溶かす事が出来る。わらわはそなたに期待しておる」 俺に…何が出来る? みすみす彼女をさらわれた俺に… 「長話は後だ。オラ、行くぞ!」 ダンテは扉を勢い良く開いた。