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「ユーシス!!」
城を出ようとすると、聞き慣れた声が聞こえた。
振り向かなくても分かる…
俺の親友……
「カースか…」
振り返らず、背を向けたままそう告げる。
「…俺にも黙って行くつもり?全く…つれないったらないよ」
わざとらしくため息をつくカース。
「すぐ帰って来るんだから何も言う事はないって思ってよ」
腹黒で、それでも馬鹿なくらい優しい親友が変な事を考えないように嘘をついた。
こいつは必ずついて来る。だから黙って行こうとしたってのに……
何でまた最後の最後に見つかっちまうんだ?
「なら俺も行く」
ほら、言わんこっちゃねぇ…
「お前…いつ戻ってこれるかも分からねぇんだぞ。馬鹿な事言うな」
「馬鹿な事?
俺は大マジメだけどね。エイゼ様と隊長には許可をもらった。俺も行く」
イライラが募る。
カースには14才の妹がいる。
俺と同じようにあの戦で両親を失い、一人で妹の面倒を見ていたのだ。
その妹を置いてこの地を出るという事がどういう事か…
カースが一番分かってるはずだ。


