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ユーシスが出て行った後、エイゼは小さくため息をつく。
「…声をかけなくて良かったの?」
エイゼは窓に声をかける。
「…あぁ。アイツとはまた会えるからな」
エイゼの声に返事を返したのは、窓を背に腕組みをするジードだった。
「本当に父親みたいだね、ジードは」
苦笑いをするエイゼをジードは軽く睨む。
「俺はオヤジじゃねぇ」
そう言いながらもジードは何故か嬉しそうだ。
「運命の歯車が回りだした。未来を変えるのは容易くはないけれど…変えなければ…それが出来るのは彼等だけだ…」
エイゼは自分の知る未来を思い出す。
未来の中でいつも涙する女の子…それがフィリアだった。
初めてこの未来を見た時、自分には何が出来るのか、何度も何度も見るだけで何も出来ないこの力を憎んだ。
でも…知る事で少しでも力になれるなら…
どんな犠牲を払っても…
何度だって未来を見よう。
「…エイゼ、俺にはお前の力がどんなものかまだよく分からねぇが……」
ジードは真剣な瞳をエイゼに向ける。
「俺はお前の部下である前に親友だ。一人で抱えきれないモノは俺も背負ってやる、だから無茶だけはするな」
無茶…それは私の代償の事だろうか……
エイゼは自分の代償については誰にも語らなかった。
私の代償……
それがいつか私を蝕むその日まで……
「大丈夫だよ、ジード。私は最後まで戦い続ける」
たとえ………
どんな代償を払おうとも…


