「ユー…シス…」
フィリアが感情を映さない瞳から涙を流し、俺へと手を伸ばす。
「フィリア!!」
胸がはち切れそうな程に苦しくて、先程フィリアを遠ざけた自分に酷く後悔する。
俺はフィリアに手を伸ばした。
お互いの手が触れ合った瞬間ー…
―バサッ
「…さ…よ…なら…」
フィリアは涙を流し、その白銀の羽を舞い散らせて姿を消してしまった。
「フィ…リア……?」
名前を呼んでも返事は当然返ってこない。
フィリア……
「俺は………」
…俺は何をしてたんだ?
フィリアを守ると誓ったのに……
いや…誓ったからじゃない、もっと別の理由…
フィリアを見つけた瞬間、本物の天使のようだと思った。
どこか穿かなさを持った彼女を……
「俺はずっと想ってた…」
ユーシスの涙がポタンッと落ち、床に染みを作った。
今は遠くに行ってしまった彼女をこんなにも……
好いてる……
今度こそ……
俺は目を逸らさない。
そう決意してギリッと拳を握る。
「フィリアの過去、未来…抱える全ての苦しみ全て一緒に背負う。だから…」
もうあんな涙を流さないで欲しい。
苦しみを抱え込まないで欲しい。
"助けて"と俺の名前を呼んで欲しい。
俺が…ずっとフィリアの傍にいるから…
「もう一度…あの手に触れる事を許してくれ…」
俺は前を向き、エイゼ様へと向き直る。


