「アイリス…」
名前を呼ぶと女性は一瞬傷付いたような悲しげな顔をした。
「…覚えて…おいでだったんですね…ユーシス様…」
「何でアイリスがここに?」
アイリスは俺がこの騎士団に入ったのと同じくらいに入ってきた使用人だ。
入った時期が近かったせいか自然と仲良くなった。
「…ユーシス様…。相変わらず鈍感なのですね。わかりませんか?私はあなたの敵なのですよ」
アイリスはわざとらしい敬語を使い、俺を馬鹿にしたように笑う。
「何…言ってんだよ…」
敵…?
そんなわけ………
「ユーシス!!彼女は敵だよ。剣を構えるんだ!!」
横からエイゼ様が声をかけてくる。
否定したいのに…
否定する要素がどこにも無い……
「どうしてだよ…どうして!!」
アイリスを友人だと思ってたんだぞ!?
カースと同じくらい気を許せる仲間だって…
「どうして?
そんな事あなたに話す必要は無いわ」
アイリスは今まで見せた事の無いくらい恐ろしい顔で俺を睨みつける。
「…あなたには……」
アイリスは小さな声で呟く。
「知られたくなかった…」
アイリスは悲しげに笑い、フィリアの耳元に口を近づける。
「さぁ…行くわよ」
アイリスの一言をフィリアは無言で実行する。
フィリアの翼が黄金に輝き、二人の体が宙へと浮く。
「待て!!アイリス、止めろ!!フィリア!!目を覚ませ!!」
俺は手を伸ばす。
その時…


