「…可哀相な子……」
全てに絶望した私に、またあの声が聞こえた。
今度ははっきりとこの声が聞こえる。
「…そんなに傷ついて…苦しいんでしょ?なら楽にしてあげるわ」
背後から声が聞こえ、振り向くと綺麗な女性がいた。
この人…前にもどこかで…
―ズキンッ
「っ…痛っ……」
頭がズキズキと痛み、意識が朦朧とする。
あぁ…何も考えられなくなります……
叶うならこのまま……
「溺れてしまいなさい。私に心を預けて…さぁ…」
女性は私を胸元に抱き寄せ、頭を撫でる。
…心地好いです……
何故でしょうか………
涙が………溢れて……
「私の胸で眠りなさい…
可愛い子……」
その女性の声を合図に私の意識は遠ざかり始める。
そんな時…
―バタンッ
部屋の扉が勢い良く開く。私の意識は途切れかけていた。
「待つんだ、彼女をどうするつもりかな?」
部屋に入ってきたのはエイゼ様だった。
いつもの優しい声とは一変し、低い声でそう告げる。
エイゼ…様……?
「…チッ…まだ完全じゃないようね…」
女性は忌ま忌ましそうにエイゼ様を睨みつけた。


