半分の心臓

腕章付きの係の先生が車を誘導し
それに従い父は進行方向を変えた。
 
駐車場は混雑していたので
ボクらは車から下り、先に会場へ向かった。
 
制服を着ている一同がどこかに向かっている。


「アイツ等の後を付けよう」


松岡の顔からは若草の匂いがした。
 
コイツ、本当に落ち込んでいたのだろうか。
 
さっきのやり取りや今の笑顔からは
覚悟していたとしか思えなかった。 
ここに来る覚悟を。
 
ボクらは彼らに導かれるまま、会場まで誘導された。
会場前には分かりやすく

『煙星高校入学式会場』と書かれた看板がある。


看板の周囲には係りの人がいて、人件費の無駄に思えた。
あまり迎え入れられたくはない。なるべくなら裏口から入りたい。
 

最初は、松岡と裏口を探した。

正面から入るには勇気が足りない。

奴等と同じ扱いは嫌だ・・・。

だが、裏口を探し出す前に
会場案内する先生に見つかり御用。

「君らうちの生徒になるんだろ?こっちだ!こっち!」

・・・はぁ・・・。