(魂は巡る言うけど…まさか、前世の記憶持ったまま転生やなんて…)

転生する…とは聞いたことがあるが、基本的に前世の記憶は無いものだ
幼い頃に前世の記憶に影響された言動をする事があるらしいが、それでも、基本的にその子の人格があって、たまに影響を及ぼす程度
しかし、優希は違う
今の人格は、どう考えても前世の自分であって、今日生まれた子のものではない

(はぁ…考えても分からへん…)

何故、前世の記憶があるのか…考えても分かるわけもなく、優希は考えるのを諦めた
目の前で、子どもの誕生を喜ぶ2人を見ると、どうでも良いような気もしてきた

(名前は…何の偶然かは知らんけど…読み方は一緒やな
漢字は違うけど…)

ベビーベッドの中に立てかけられた、名前が書かれている色紙が目にはいる
大きい字で書かれていた名前は、ぼやけていたが何とか読む事が出来た
字は違うが読み方が一緒なので、名前を呼ばれても反応出来ない…という事にはならずに済みそうだ

(これから、一体どうなるんやろう…?)

不安を抱えながら、前世の記憶を持つ少女
優希の人生は幕を開けたのだった