「分かってへんなぁ…
幼いこの体は、日々成長を続け発達していくねん
自分が今、こんだけスラスラ喋れるようになるまで3年もかかったんやで
それまでは、喋りたくても上手く言葉にならへんかった
それと同じなんよ…自分の意思に体がまだついてこれるほど発達してへんねん」
「あぁ~…なるほどぉ~」

やっと優希の言いたいことが分かり、大きく頷き納得する
すると、気になってくるのは日記の中身…

「ねぇねぇ!どんな事書いてるの?見せて~♪」
「別にえぇけど…字がまだ震えて見にくいで…?」

優希は書き終えたノートを美紗子に渡す
美紗子は、とても嬉しそうにノートを開いて中身を見る

「どれど…れ…」
「…どんな日記想像しとってん…」

日記を見るなり固まった美紗子の反応に、呆れた声でそう呟く優希
美紗子は驚きのあまり、呆然と立ち尽くしている

「3歳の日記じゃない!」
「当たり前やろ…3歳の脳みそちゃうねん」

やっと言葉に出来た美紗子の一言に、優希は冷静な一言を返す
優希は美紗子から日記を受け取り、テーブルの上に置く
美紗子は、未だ衝撃から抜け出せないまま立ち尽くしている

「か…漢字まで…」
「そら、120年くらいの記憶があんねんから、漢字くらい使えなな」
「そ…そうね…」
(…ショックが強すぎたか??)

優希は美紗子を見る
どうも思考が止まりかかっているように見える
そこまでショックを与えるとは思わず、対処に困っていると

「オギャーオギャー!!!」

暁の大きい泣き声が、その場の空気を壊す

「ハッ!」
「暁が泣いてるで~」
「はいはい、今行きますよ~」

パタパタと暁の元へ走る美紗子
それを見送り、優希はため息をつく

「1人が手ぇかからんねんから、しっかりしぃ~や」

優希の呟いた言葉は、もちろん美紗子に伝わることは無い