「よーく見とけよ~」

そう言うと、哲哉はリビングの壁を見つめる
そして適当な場所を見つけ、クリーナー…もとい空間ネジリの先をくっつける
哲哉がスイッチを押した瞬間、空間ネジリの先から少しずつ壁が歪み始める

「!?!」
「そういえば、気付かなかったか?」
「え…?何に??」

哲哉の言っている意味が、よく分からない
一体何に気付かなかったと言うのだろう

「家の見た目より、家の中広いだろ?」
「…確かに、言われてみれば…」

外観に比べて、中は広い感じはしていたが…自分が小さくなったからそう感じるのだと思い、気にもとめていなかった

「昔と違って、今は空間をねじって部屋を作るんだ
人口が増えてきて、土地が無くなってきたのが、その理由なんだ」
「へぇ~」

哲哉が説明している間にも、空間のねじれは広がっていく
3分ほどすると、新たな部屋への入り口が完成していた
まだ中は見ていないが、きっと部屋が出来ているのだろう

「この機械を扱うには、免許が必要なんだ」
「お父さんは、免許持ってるの?」
「あぁ、持ってなかったら所持も認められないんだ」
「へぇ~…凄い」
「驚いてないで、早く中を確認してごらん」

どんな部屋になっているのか…という期待感と、はじめて見た現象に少し興奮気味の優希
哲哉の言葉に優希は頷き、ゆっくりとドアを開く

「うわぁ~…」

目の前に広がる光景に、優希は開いた口が塞がらなかった
3歳の優希が使うには、あまりにも広い部屋
優希の今の大きさに合わせた…少し小さめの部屋を思い浮かべていた優希は、ドア付近で固まってしまった