「そうじゃ。それを見つけ出し、守ることが今回の任務じゃ」

そう言うと、首領の術が弱くなってきたらしく、姿が薄く透けはじめた

「!?(消える!!…ってことは!?)ジジィ!テメェ今何処にいる!!?」

リュートは消えゆく幻影に必死に問いかける
消えてしまえば、何処にいるか…知る術が無くなってしまうから

「ちゅ…ぉ……うえ…」

途切れ途切れの言葉を残し、幻影は煙のように消えた
部屋には、再びリュート1人となった

(中央公園か!)

先ほどの言葉から、首領の居場所を特定するリュート
すぐさま神殿…もとい、首領の家を飛び出した

(幻影を出して来てるってことは…本体はヤバイ状況ってことだ!
霊力はダイブ残ってたみたいだが…それも幻影で使い切ったか…
あの煙のような消え方は、自分の意思での消え方じゃねぇ)

高速で人の家の屋根を足場に走り抜ける
景色はみるみる変化し、住宅地から木々の生い茂る場所へ
神殿に向かっている時とは、まるで別人のような動きである

(さっきまで術使ってたんだから、死んでる…ってことはねぇ~よな…)

最悪の結果が頭の中をよぎるが、頭を横に振りそれを振り払う
そして、真っ直ぐ前を見る
高速で移動しているのだから、ちゃんと前を見ていないと、ぶつかってしまう