HERETICAL KIDS

ガスッ！！

固まっている隣のおじさんに、ドアが勢いよくぶつかる
しかし、隣のおじさんは気づかず、まだ固まっている
ドアを開けた人物は、わずかな隙間に体を滑り込ませ、室内に入った
そして、無言で隣のおじさんを見て、口を開く

「何ですか？この猫は…
猫は猫らしく、屋根や野原で昼寝でもしていてください」
「な、何だと！！！？」

開口一番、暗に邪魔だと言った
隣のおじさんは、その言葉に反応し、硬直から戻り煩くなる
そんな事を気にするでも無く、入ってきた人は、何かに気づいたような素振りを見せると、再び口を開いた

「屋根はやめてくださいね」

暗に重いと言っているのだが、それに隣のおじさんが気づくことは無い

「あの言い方、邪魔だってことか！！？」
「その通りですよ」

あっさり、邪魔扱いを肯定された隣のおじさん
邪魔扱いされたことが、分かると更に煩くなった
あまりに煩いので、後から入ってきた人はため息をついた

「化け猫は黙っていてください」

ピシャリと一言言ってのけた
その言葉に石化した隣のおじさん
ようやく騒音はおさまったのだった

「まったく、煩くて話せませんね」

呆れながら、もう一度ため息をついた
一見して、白衣などから医者だろうと言う事は予想できた
しかし、リュートは目の前の黒髪の医者に見覚えは無かった
年齢は、２０代くらいだろう…眼鏡をかけ真面目そうな雰囲気を漂わせている

「いや、『話せませんね』の前に、アンタ誰？」

リュートは見覚えなの無い人に警戒し、睨むように見ていた
睨まれたその人は、慌てることも無く
ポンッと手を叩いた

「あぁ、スミマセン…僕は医者です」
（や、それは分かるって…）
「森から救出された君の治療を担当したんですよ」

その言葉に、リュートはハッと思い出した
先ほどまでの隣のおじさんと目の前の人物のやりとりで
すっかり頭から抜け落ちていた