「会ったことがあるなら、俺のことを知っていますか」



「知っているよ。
ただ、あまり君は私のことを好きではないようだから、ほんの一部だけだけれど」



「それなら」



少年は私の背後に積んだ死体の山に視線を投げ、少しだけ虚ろな目をして口を開いた。



「一年前くらいからなんだ。
人の塊を見ると無償に壊したくなって、気が付いたらついこうなってしまうんだ」



何故だかわかりますか。



少年はそう訊ねた。



「右目が痛くないかい」



「少し」



「その眼ももうすぐ紅くなる、そうなったらきっと、全て思い出すよ」



「そんなの待ってられない、なんとかしないと、俺はまた人を殺します」



私は、彼の口から予想外の言葉が出てきたのでまたしても両目を見開くことになった。



彼は人殺しを背徳だと解っている。



どうしようもない衝動に駆られるわけを私に尋ね、それをどうにかしようと試みているだなんて、彼らしくもない。