「…いた…た、いった…」

すごーい、あたしたぶん、転んじゃったの何年ぶりだろ…こんな痛いんだなー、転ぶと。

あたし、びっくりしすぎてそんなことを考えてしまった。

アキオはさすがに立ち止まったけど、びっくりするくらいイライラした顔をしてた。

「お前めんどくせえな。さっさとしろよ!恥かかせるなよ!」

あたし。
立ち上がれずにアキオの方をみた。
生徒会役員のアキオ。
さわやかで、優しくて、何でもできる優等生。
もちろんモテモテなアキオ。

でもほんとうは、テストの成績が自分より良かったあたしに、こうやってイラつくアキオ。
デートプランはラブホしか無いアキオ。
転んだあたしにめんどくせえなと言うアキオ。

何であたし、こいつと付き合ってんだっけ…。

「はあ!?お前今何て言った!?」
アキオはあたしに近づいてきて、あたしのもってたバッグを蹴った。

あ、やば‥あたし今の声にでちゃってたんだ‥

ごめん、と言いたくないけど言おうとしたその時、アキオはガツンとあたしの頭を殴った。

「きゃ‥っ!いった‥!」

殴るとかありえなくない?
ありえなくない?
あたしもう、頭がパニック。

「こっちがお前みたいなバカと付き合ってやってんだぞ!?ふざけんなよお前!?」

また殴られる、と思った時。

ふわっとあたしの体が浮いた。