「しかし、お嬢さま。私どもが、杏奈さまとお呼びするわけにもいかないので」


本田は、ごつい身体をしている上に、頭までカチンコチンだった。


「ところで、朗報があります。今度、最新鋭の護衛アンドロイドが開発されたのです。我々は、その最新アンドロイドを使って、お嬢さまへの護衛をさらに一段と、手厚くしていく所存です」


「なんだかわかんないけど、つまり、あなたたちよりはマシな護衛がつくってことね」


あたしは、不謹慎だなと思いながらも、トーストにマーマレードジャムをつけて、登校の支度をしていた。


「…コホン。まあ、いいでしょう。これが、その、アンドロイドです。名前はロイです」


ロイが、大きな扉から、ゴージャスな部屋の中へ入ってきた。


この家は、首相官邸だ。
いままで、住んでいた中流のマンションとは、全然格が違う。
あたしは、いまだに、この家に慣れることができない。