それでも優ちゃんのことは大好きなのだ。
心の中ではいつも〈優ちゃん〉と、呼び掛けている自分がいることを十分に知っている。
よく小さい子が好きな子を虐めたくなるそれと同じなのだろう。
だから千春と計画しているものがこの先徐々に、優ちゃんを深く追い詰めていくことになるとは、思ってもみなかった。
「千春ちゃんは彼のことが好きなのね…」
私の言葉を確認するかのように、呟きながら、千春と甲斐君の横顔を眺めている優ちゃんに、一番訊きたかった質問をぶつけてみる。
「念のために訊くけど、姉さんと甲斐君は付き合っているとかじゃないんだよね?」
優ちゃんが私の顔を覗き込む。何かを探られているようで、目を逸らしてしまった。
「……それは」
彼女は、何かを迷っているかのように話し出そうとしては言葉にせずに考えている。
優ちゃんの様子を見て、空かさずに次の言葉を投げる。
「まさか姉さんが高校生となんてね。ごめん、あり得ないよね」
「そういうのってあり得ないかな?」
予想に反して、優ちゃんが今にも交際宣言をしそうな真剣な表情で私を見ている。
「あり得ないっていうか、カッコ悪いでしょう。婚約破棄のあとが高校生?未成年相手じゃ、親にもまずいよね?まさかでしょ?」
優ちゃんの顔を覗き込むように見ると、彼女はとても難しい表情をしていた。

