優ちゃんの表情に緊張が走る。 姿勢を正しながらも堂々としていたのは、意外にも甲斐君のほうだった。 「こんにちは。優さんとお付き合いさせてもらっている甲斐悠斗です」 彼は父を目の前にきっぱりとこの台詞を言い切った。 これにはさすがの優ちゃんも驚きを隠せないようだった。 口を開けたまま、言葉が見つからないようだ。 父は甲斐君に歩み寄り、右手を振り上げる。 (殴られる!) きっと私以外の人もそう心配したと思うような速度で振り下ろされた父の右手は、甲斐君の肩の上に置かれていた。