私は最近になって、自分がこんなにもよく泣く人間だということを知ったような気がする。 「連絡とろうとしてくれていたのか?」 「携帯に掛けたよ」 「それだけだろ」 そう言われるとそうだけど。 「雅、ほかの男に夢中だったじゃんか。俺のこと、忘れていただろう」 珍しく、直哉が怒っているような顔をしている。確かに直哉の言うとおりで、ついこの前まで、私は甲斐君に夢中だったと言われても反論できない。