エレベーターの前にある公衆電話を見つけ、甲斐君に電話する。 「もしもし、甲斐君?」 「あ、中原か。ユウの手術は?」 「終わったよ。優ちゃんはもう話せるくらいになってる。でも……赤ちゃんが」 口にするのが切ない。 「病室、どこ?もう、病院の前に居るんだ」 余りにも感情を見せないで話す甲斐君にちょっとした疑念を持つ。 もしかしたら、彼は赤ちゃんがいなくなってしまったことをなんとも思わないのだろうか、と。 「今、ロビーに行くよ」 そう言って私は電話を切った。