「最後まで、ちゃんと聞いてね」

「うん」

 言葉をどう繋いでいいのかが、わからない。

「優ちゃん、今手術中なの。それを伝えようと思って」

「手術中?」

「うん。あのね」

どう説明しても、動揺させてしまうことに今頃気付いて、電話したことを後悔する。

同じ掛けるにしても、手術が終わってからにすればよかった。

こういう配慮のなさに自分を情けなく思う。

「ごめん。もうすぐ手術が終わると思うから、いくね。落ち着いたら、また電話するね」

結局、何も説明できないままだ。

「俺、今からそっちに行くよ。最終の新幹線には間に合うと思うから。病院どこ?」

私の様子を電話越しに感じ取ったのか、甲斐君は落ち着いた口調でそう言った。