男が優ちゃんのアパートの階段を駆け上がろうとした時、優ちゃんが階段に視線を向ける。 異様さに気付いて、玄関に戻り、ドアを閉めたように見えた。 (よかったぁ) 私が胸を撫で下ろした瞬間に、そのドアは男に力ずくで引っ張られていた。 男が中に入ろうとしている。 (優ちゃん!) 私は、走っていた。 怖くて、怖くて、泣きたいぐらいだったのに、優ちゃんのアパートに向かって、走っていたのだ。