『梨華、一緒に帰ろ』

『あっ、剣人。いいの?』

『おぅ!こんな時間に、梨華一人で帰ったら

危ないしさ。だめか?』

『…別に、帰ってもいい…よ』

『帰ろ』

光輝クン…やっぱり、素敵。

この声を、こんな近くで聞ける。

もう、それだけで涙が出そうだよ。

『剣人!!タオルッ』

練習試合、ハーフタイム。

『おっ、梨華。さんきゅ』

『後半も、がんばって!!』

なんか…

違う世界で、光輝クンに恋してるあたしがい

るみたいだよ。

梨華として、剣人が大好きだって、演技しな

がらそう思うよ。

で、光輝クンの出す剣人の声が、あたしの梨

華の声に恋してるのが伝わってきて…

このまま、光輝クンがあたしを好きになって

くれればいいのにって思う。

梨華と剣人の関係に、すっごく憧れるよ。

『梨華ちゃん』

『あっ、晴先輩』

『ドリンク作りに行くよ』

『はいっ』

実穂さんの声も、すっごい優しい声で。

なんか、あたしのいる世界が、すごく不思議

だった。

『…あたし、サッカー部にいられることが、

すっごく幸せなんだ。…剣人が、好き』

親友に言うセリフ。

あたしが言う、好きには大きな力があって、

あたしの言い方で、映画が変わってしまうか

もしれない。

だから、その分頑張ろうって思える。

『梨華…そうだね。頑張ろ。みんなが、全国

大会に行けるように、あたしたちが支えなき

ゃいけないんだもんね』

『あたし、剣人が全国に行けるように、頑張

るね!!』