「あのアニメのさっ…」

中学の俺は、友達とアニメの話をしている。

…んな、アニメの話とかくだらねぇ。

てか、んなのどっちでもいいし。

とか言いつつも、そいつに言われて、アニメ

を見ている俺はなんなんだと思う。

「あのセリフ、どっちの方が声優っぽく言え

るか勝負しようぜっ」

「なんでお前は、なにかと勝負にすんだよ。

てか、声優っぽくって、なにをどうしたら声

優っぽいんだよ」

「まぁ、いいんだよ!声優っぽくとかどうで

もさ!!とにかく勝負!光輝も勝負好きだろ?

やろーぜ」

別に、俺は勝負が好きなわけじゃない。

…ただ、負けるのは嫌なだけ。

「…やってやるよ」

「よしっ」

「んで、なに言うんだよ」

「んじゃ、俺がまずやるから、それしっかり

聞いて覚えろよ!!」

しっかりって、強調しなくていいし。

「…お前のこと、死んでも助ける。俺はお前

の仲間だから。まぁ、俺は死なねぇけど」

なんか、クサいセリフだな…

設定は海賊ですか~?

「んじゃ、次光輝の番だから」

ヤバイ…

クサイセリフだとは思ったけど、アイツ上手

かった。

俺、負けたくねぇ。

…俺って、極度の負けず嫌いか?

「…お前のこと、死んでも助ける」

あぁ、無理。

こういうこと、俺言えねぇから!!

でも、負けられねぇ。

「…お前は俺の仲間だから」

仲間って、なんのだよ!!

「…まぁ、俺は死なねぇけど。ふっ…」

ヤベェ。

笑っちまったよ。

てか、最後の言葉だけ、異様に言いやすかっ

たのはなんでだろーな。

「…なんか、光輝セリフ違くね?」

「あっ、マジ?なんか、俺のぜってぇ言わね

ぇ言葉だらけで、笑っちゃうんだよ」

「ははっ。確かに、お前を守るとかないもん

な」

「てか、誰がこのセリフ勝負の勝ち負けつけ

るわけ?本人たちで勝ち負けとかおかしいだ

ろうし」

「じゃあ、俺にやらせてよ」

「あ?」

いきなり声をかけてきた、おじさん。