「おっ…おはようございます」

「おはようございま~す!!あっ、夕暮さんで

すか?」

「…はい」

「じゃあ、こっちだよ!!」

「えっ…」

手を引っ張られて、連れてかれる。

あたしを引っ張っているのは、きれいな女の

子。

あたしより、ちょっと年上?

どこかで見たことある顔。

「あっ…あのっ…」

「あっ、ごめんね。あたし、小林実穂!!一緒

にオーディション受けてたよ!!」

「あっ…」

だから、見たことあると思ったんだ。

あの時は睨まれて、怖いなぁって思ってたけ

ど、すごくいい人!

「あたしはっ…夕暮奈央ですっ…」

「あははっ。知ってるよぉ!!だって、有名人

だもん!!奈央ちゃんって呼んでいい?」

「はいっ。じゃあ、あたしは…実穂さんって

呼ばせてください」

「なんで《さん》?まぁ、いいや。あたし、

A大の2年なの」

「A大!?すっごく頭いいんですね!!あたしは

…藤校の高1なんです!!」

「へぇ…ねぇ、青葉光輝ってどんな人だと思

う?見てみたいんだよね~」

「…どんな人なんでしょうね」

あたし、たぶん知ってます。

すっごくカッコ良かった。

…実穂さん、気づかなかったんですね。

「あたしの予想は、ドSかなぁ」

ドS!?

「そんなことないですよ!!絶対、優しい人で

すっ!!」

「…そうかなぁ」

「奈央ちゃん!!…と小林さん。挨拶しに行く

よ!」

「あっ…窪野さん。はいっ」

あたしは、窪野さんの方へ走る。

その姿を見て笑いながら、あたしの後ろを歩

く実穂さん。