「坂下クンッ」

「あっ…夕暮」

あたしから呼んだことにびっくりしたのか、

すごく目を見開いた。

「あたしね…オーディション受かったよ!!映

画の主演やれるようになったの!!」

「…まじ?」

「うんっ」

「良かったじゃん」

にこっと笑った坂下クンは、あたしの頭を撫

でた。

笑った顔、結構カッコ良かった。

「…ありがと、坂下クン」

「あぁ、わりっ」

あたしの頭を撫でていたことをあたしが嫌が

っていたと思ったのか、顔を赤くしてうつむ

いた。

「…坂下クン、笑った顔カッコイイよ」

「…っ…」

「ん?」

「んなこと言わなくていいから」

「あっ…ごめんね?」

顔をさっきより赤くして、口を押さえた。

「奈央っ」

「あっ、彩希」

「なんで坂下、顔真っ赤なの?」

「あっ…赤くなんかねぇよ!!」

「なに、必死になっちゃって」

「…必死じゃねぇ!!」

「…そういうのを必死って言うんだよ。じゃ

なくて、奈央!奈央の映画の話、雑誌に出て

たよ!!」

「え?」

「まだ、誰とは言われてないけど、青葉光輝

とやる一般の声優って!!」

「そうなの?」

「奈央が有名人になっちゃうよ~」

「え?」

「奈央はあたしの奈央だからね!!あたしが親

友なんだよ!?」

「彩希…」

彩希、ありがとう。

「…当たり前だよ。彩希が一番の親友だよ」

「奈央大好き!!」

彩希、大好きだよ。