「…好きだ」







「え?」

今、なんて…

「好きだよ、碧」

「何言って…」

「…俺は、その強い瞳が好きだ。その瞳を見

てると、切なくなる…」

「…悲しすぎる伝説を知らないからです」

「伝説?んなもん、どっちでもいい」

「…良くない」

「……お前、なんで、男のフリなんて…」

「あたしは、男じゃなきゃダメだった。男じ

ゃないから、親父が嫌み言われるんだ」

あたしが、銀色の瞳を持っているから、恐れ

られた。

女だから、なめられた。

女じゃ、跡継ぎにならない。

「…お前の親父さんの部屋はどこだ?」

「…一番奥ですけど」

あたしの体は解放されて、手を引っ張られ、

龍さんは家に上がって行く。

初めて来たのに、迷わずに歩いてる。

いつのまにか着いたのは…親父の部屋の前だ

った。

「…龍さん?」