。*雨色恋愛【短編集】*。(完)

あたしは…女になんか、なりたくなかったん

だよ。

どうせなら、男に生まれて、親父に恥ずかし

くない奴になりたかった。

…お前らに、あたしの気持ちがわかるか?

わかってたまるかよ…!!

…総長だろうか。

一番奥の部屋にいて、足を組んで座って、自

分の仲間があたしに殺られていく姿を、ただ

黙って見てる。

…龍さんなら。

龍さんなら、なるべく自分の仲間が傷つかな

いようにすぐ、助けてくれるのに。

…総長の風上にもおけねぇ奴だな。

最後に残った、総長を睨む。

あぁ…そうだ。

女の姿で、カラコンもなく、銀色の瞳を隠さ

ずにいるのも、久しぶりだ。

カラコンをしないことに慣れすぎて…あたし

は、すっかり自分の瞳のことを忘れてた。

…龍さんのおかげだ。

龍さんが、あたしの瞳を褒めてくれたから、

あたしは自分の瞳を、嫌いじゃなくなったん

だ。

…あぁ、あたしは、無意識に龍さんを、想っ

てしまうんだ。