。*雨色恋愛【短編集】*。(完)

…久しぶりに、こんな格好したな。

ミニスカートに、ハイヒール。

薄いパーカーを羽織って。

カツカツ音を立てて、歩く。

この音聞きながら歩くのも、久しぶり。

今のあたしは…女だ。

だから…いいよね?

あたしが、心で龍さんを…想っても。

そして…着く。

………龍夜の溜まり場に。

あたし、こんな格好で喧嘩できるかな?

ハイヒールで、踏ん張れるのかな?

なんで、こんな格好したんだろ?

親父にバレたら…親父が、混乱しちゃう。

まぁ…記憶喪失の親父が、フラフラ一人で、

こんなとこにくるはずもないし。

とにかく…今は集中だ。

「……優さん…」

あたしは、龍夜の溜まり場のドアを蹴り飛ば

した。

あぁ…結構な大きさあったかも。

あたし、キレると、自分でも信じられない力

が出るもんだ。

この前、龍月のメンバーで、結構病院送りに

したからだろうか。

人数が、前よりは少ない。

「誰だ、てめぇ」

「…桜吹雪。桜吹雪組、3代目の碧だ」

…あぁ、あたし。

なに真面目に、答えてんだろ。

「あぁ、てめぇか。銀龍は」

「…んな名前、いらねぇよ。あたしは…」

優さんの、仇をとりにきた。

…龍夜の汚いやり方を、潰しにきた。

「女の子が、よく来ましたね~」

…バカにしてきやがった。

「自分から、俺らに遊ばれに来たの~?可愛

いね~」

…ふざけてる。

「……女、なめんじゃねぇよ」

とりあえず、バカにしてきた奴に飛び蹴りを

お見舞いしてやった。

良かった。

ヒールでも、踏ん張れるらしい。

「…てめぇ。女だからって、調子乗りやがっ

て」

向かってくる、龍夜の奴ら。

とにかく、殴り蹴りを繰り返す。

あたしの腕に、血が流れる。

あたしのじゃなく、相手の。

返り血で、あたしのパーカーが、赤く染まっ

ている。

怒りに狂ってた。

あたしを、銀龍と知った上で、しょせん女だ

って、バカにしてきたところ。

女を遊び道具だと思ってるところ。