優さんは組とか族が行く病院に運ばれて。

「…優さん」

あたしは、手術室の前で、泣きそうになって

いた。

…あたしのせいだ。

女だって、言われただけで…動揺して。

…怖くなって。

…先生が出てきて。

先生が…首を、振った。

……横に。

「…優さん」

…優さんに刺さった刃物は、左胸を貫いてい

た。

泣きたくて、辛いけど。

…最後に、優さんが話した言葉を思い出して

泣かないと誓ったんだ。

「…優」

怜さんも、泣いていて。

空も海も、泣いていて。

龍さんは、険しい顔してて。

…どうしようもなく、心が痛かった。

翔は…なぜか無表情で。

みんなが、優さんに駆け寄ってるのに、翔と

あたしはただ見てた。

翔だって…優さんと、すごく仲良かった。

すごく、辛いはず。

みんなが、優さんのところに行って、あたし

と翔は、二人きりになった。

「…碧」

優しい声で、翔があたしを呼ぶ。

いつものように、抱きついてきて。

「大丈夫だよ」

優しく、あたしの頭を撫でた。

あたし…翔よりも、全然身長低い。

あたしは…辛さからか。

翔を抱き締め返した。

「…翔。あたしのせいで…優さん、死んじゃ

った」

…涙も、止まらなくなった。

「…あたし、ひとりにバレたんだ。女だって

さ…それだけで、動揺して、動けなくなって

さ」

「…うん」

「で、後ろから刃物で刺されそうになった時

に…優さんが、助けてくれた。…そのせいで

優さんは、死んじゃった…」

…優さん、ごめんなさい。

……………あたしのせいです。

「……あたしが、女だから。あたしは…いら

ないのに生まれてきたから。だから、優さん

が…!!」