「…なんであいつらは、碧ちゃんが女の子だ

って気がつかないんだろうね」

「えっ…」

それは、あたしがバラさないようにしてるか

らで…

「こんなに小さくて、弱いのに。喧嘩がじゃ

ないよ。心が寂しいって言っているのに」

「皐月さん?」

「このまま、俺に掴まっててね?今から、飛

ばすからさ」

「…はい」

皐月さんに掴まって、道を走る。

どこに行くのかは知らない。

けど、皐月さんだから信じられる。

むしろ…さっき、龍月を襲った皐月さんが夢

だったんじゃないかって思ってる。

バイクが止まって、着いたのは病院の駐車場

だった。

…親父がいた病院の。

「…皐月さん」

皐月さんは、さっとバイクから降りたから、

あたしも降りようとした。

その時、ギュッと抱き締められた。

「ちょっ…皐月さんっ」

「…ごめん。碧ちゃんの仲間に、あんなこと

しちゃって」

「…なんであんなこと…」

「…碧ちゃんを、助けたかったからだよ」

「俺、辛いなんて一言も言ってない…!!」

「…もう、俺って言うことになれてしまった

んだね」

「……男になりたかった。ずっと。だから、

俺って言うことも慣れたし、今の生活に満足

してる!!…みんなに嘘をつくのは、悪いこと

だけど、もう俺は男だ」