「……碧」

クラスに、いつものように龍さんが迎えにく

る。

その度に、クラスの連中がびびる。

毎回毎回お疲れさん。

「おっ、楢崎。んじゃ、俺らも行くか」

「えっ、俺も?」

翔が驚く。

いや、当たり前でしょ。

翔、幹部なんだし。

てか、溜まり場ってどこだろ?

今まで、龍さんのマンションにしか行ったこ

としかないし。

「空~、海~。お前らも行くぞ」

「はぁい」

「俺、碧と一緒がいい!!」

またあたしに抱きつく翔。

ただをこねるな。

抱きつくな。

「俺ら、バイクの免許持ってねぇんだし、し

ょうがねぇだろ。俊兄に乗せてもらえ」

「え~…うん」

あたしの言うことは、なんだかんだで聞いち

ゃう翔。

…ほんと、可愛いんだから。

「てか、なんで俺は俊さん?」

バイクに乗る時、絶対に翔は俊兄。

あたしは、龍さん。

空は怜さんで、海は優さん。

決定事項のように、いつもそう。

「……担当が決まってんだよ」

龍さんがそう答える。

そうなんだ。

知らなかった。

「龍さん、マンション行くんですか?」

「今日は違う。今日は、俺らの溜まり場」

「それ、どこですか?」

なんか、テンション上がる。

溜まり場とか初めて。

あたし、家が溜まり場みたいな物だし。

「行けばわかる。ついて来い」

「はいっ」

楽しみ~♪

「ん」

龍さんがあたしに、あたしのヘルメを渡して

くれる。

「ありがとう…ございま…」

ふと手を見た。

…手の甲に、龍のタトゥー?

「龍さんって、金龍!?」

「……そういうお前も、銀龍だろ」

「金龍がうちの総長!?」

なんか、驚きなんだけど。

てか、あたし…

「なんで今まで気がつかなかったんだ!?」

「俺は、すぐにお前が銀龍だって気がついた

けど?」

バカにしたような目。

「教えてくださいよ!!」

「いや、気づいてると思ってたし」

「まじ、びっくりしたし!!龍さん、ひでぇ!!

俺、探してたのに!!」

んなこと、あたしの勝手な都合だけど。

「んなこと、俺知らねぇし」

「なんか、ひどい!」

「いいから、早く乗れよ。みんな、先行っち

ゃったから」

「…はい!!」

金龍って言うから、金髪なんだと思ってたけ

ど…

あっ、これ偏見だけどさ。

「早く乗れ」

今だに立って考えてたあたしに、龍さんの不

機嫌な声が届く。

「…すいません」

龍さんの腰に手をまわす。

今は、この行為も慣れ…

てないね。

今も、本当に緊張する。

けど、手を緩めてなんかいられない。

龍さん、すごい飛ばすし。

落ちそうになるし。

「…怖っ」

そっと、呟きました。