あっ…

もう遅かった。

「いってぇっ!!」

殴られました。

…俊兄に。

「おっ、俺に殴られて泣いてねぇじゃん!!こ

いつ、楢崎に紹介しなきゃ」

「えぇ!?」

確かにね、翔は喧嘩強いけど…

「翔はいや!!翔が来たら、俺また…」

抱きつかれる時間が長くなる…

「いやって言われて、やめるほど、俺いい奴

じゃないから♪」

と、にこっと言われました。

「…俊兄、あとで殴ろ」

「先生!!俺、碧の隣の席にして!!」

「あぁ、いいよ」

「やったぁ!!」

にこにこっと笑って、あたしの隣の席に座っ

た、翔。

…可愛いんだけどさ。

「翔、うるさくしたら、もう知らないから。

…顔、大切にしろよ」

「うるさくしない!!そんなことしたら、碧の

悠美≪ゆみ≫さんになに言われるかっ…やめ

て!!」

「なに?お袋がなにか関係あんの?」

「いっ…いや、なんでもない!!」

「なんか、あるだろ」

「いえっ。ありません!!」

「ふ~ん、俺に逆らうわけ。まぁ、別にいい

けど」

「言う!言うから、怒んないで!!」

「いいよ。聞いてあげる」

「悠美さんに、碧を支えてあげてって頼まれ

たから、俺、この学校に来たんだ」

「へぇ…お袋が」

「悠美さん、碧が聞くと怒るかもしれないか

らって、内緒にしてって…」

「で、翔は?来たくなかったの?」

「来たかったよ!!事情聞いて、俺、碧に会い

たくなったし。もとから、会いたかったんだ

けど。しかも、碧と同じ学校に通えるし、来

たかったよ」

「そっか」

「なに?俺が来たくなかったんじゃないかっ

て、心配してくれたの?碧、可愛いっ」

ギュッと抱きつかれる。

あたしより、翔の方が大きいから、あたしに

は周りが見えない。

「………ありがと」

ボソッと。

翔に聞こえてるかどうかなんて、知らないけ

ど…

あたし、翔が来てくれて、安心したよ。

俊兄もいるけど、教師だし。

てか、顧問だし。

基本、一緒にいられないから…

翔が来てくれて、すごく安心した。

………ありがとう。