じゃんけん?

とりあえず、出しとく?

「やった!!俺、勝ち!」

とりあえず、勝ったから喜んだ。

「……俺だな」

負けたのは、龍さんだったみたいです。

しかも、ひとり負け。

「じゃあ、もう1回!!」

えぇ!?

なぜ?

「じゃん、けん、ぽんっ!!」

……………あたし、負けた。

「じゃあ、碧と龍は買い出し~」

…そういうこと。

買い出しじゃんけんだったのか。

「いってきま~す…」

めんどくさ。




歩いて行こうという話になって、ふたりで近

くのコンビニまで歩いて買い出し。

人数的に、ふたりはいないとジュースを持ち

きれなくて、ふたりだったらしい。

龍さん…身長高いな。

「……なぁ、俺気になってたんだけど」

「はい」

また間が長い。

あっ、いつもか。

「……お前の目って、灰色?というより、俺

には銀色に見えるんだけど」

「………」

珍しいな。

あたしの瞳の色を、見破った人。

「銀…ですよ。桜吹雪組一代目組長の、俺の

祖父と祖母と同じ色です。一応、クォーター

なんですけど。銀色なんです」

灰色だと思う人は多い。

けど、銀色。

特に月の光の下だと、よくわかる。

両目、一個だけ、ラメみたいなものが入って

いて、その形は…

桜の形と、三日月の形。

右が祖母からの三日月で、左が祖父からの桜

の形。

ふたりは、最強に強いと言われていた。

その血を引き継ぐ者と知られているから、恐

れられている。

「………ねぇ」

龍さんの顔が近寄ってくる。

「……はい」

声…震えたかも。

「……少し、瞳…見ていいか?」

「……はい」

マンションのエレベーター。

ふたりだけの空間。

このまま、誰も乗ってこなければいいとも思

うし、誰かこの緊張をほどいてと、誰かが乗

ってきてほしいとも思う。

あたし…変だね。

「……いい瞳、もらったな」

初めて見た、龍さんの優しい笑顔が…

頭から離れない