「碧サマ、いってらっしゃい」

「柚希さん…敬語と様、やめてよ」

「いえ。無礼な真似はできません」

「はぁ…いってきます」

あたしが車から降りると、あたしの前に道が

できる。

みんな、あたしに頭を下げるんだ。

あたし…結構普通なんだけどなぁ。

別に、タバコ吸ってるとか、酒飲んでるとか

そういうこと、一切やってないのに。

しかも、髪だって染めてないし。

まぁ…カラコンはしてるけど。

でも、色は黒だし。

バレてない。

まぁ、今さら気にしたってしょうがないし、

気にせず真ん中を、堂々と通るけど。

「おい、お前さぁ。女のくせに生意気なんだ

よ!!」

男3人が、あたしに突っかかってくる。

…たった3人かよ。

楽しくねぇ~。

「なに?あたしと、殺る気?」

「あぁ?てめぇ、いい根性してんだな!!」

そう言って、あたしに殴りかかってくる。

…最弱。


―バシッ


なんというか、いい音!!

「あたしに殴りかかるとか、まじで頭可笑し

いって」

笑いながら、そう言う。

きっと、あたしはすごく冷たい目をしてると

思う。

決して見せない、その瞳を隠してにらんでい

る。

一人目の奴を殴る。

そいつがぶっ倒れて、二人同時にくる。

一人は、蹴りで倒し、もう一人は、勢いよく

きてたから、避けたら自分で転んだ。

「もっと強くなってから来いよ。バーカ」

喧嘩する前と同じ、人に開けられた道を通っ

て、あたしは歩く。

ポケットに入れた手を握りしめながら。




「きっ…今日は、テストの順位が張り出され

ていまっ…いますっ…放課後には、へっ…偏

差値とかも出るので…」

担任、びびりすぎ。

あたし、な~んもやってねぇよ?

まっ、別に、テストとか興味ないけど。

どうせ、あたしの順位は決まってる。

あたしは、中学のテストで順位が出るように

なってから、1という数字を渡したことはな

い。

誰にも渡さない。

この順位は。

…だからかな。

不良なくせに、勉強できるのはちょっとおか

しいのかもしれなねぇな。