そうだよ、結愛。

結愛の家族は、本当に結愛を愛していた。

「結愛…」

「ん?」

「制服…可愛いよ」

なんだか照れ臭くて。

顔を見ては言えなかったけど。

「儚も、カッコ良すぎるよ。他の女の子が見

てたと思うと、嫉妬しちゃう」

「結愛…」

「なぁに?」

「愛してるよ」

しっかり目を見て。

今までにはない、最高の笑顔で言った。

にこっと、俺が大好きな優しい笑顔をした君

に、俺はそっと…

キスをした。

まだ子供だったから、そんなことしちゃいけ

ないと思ってたけど。

俺ら、もう大人だよな?

俺…これ、ファーストキスだよ。

唇を離すと、また可愛い君がいた。

「結愛…」

「もう、不意打ちはやめてよね」

ちょっと怒った君が、今度は俺に、キスをし

た。

「大好きだよ、儚。迎えに来てくれて、あり

がとう」

「結愛…これからも、よろしくな」






「儚は、天国と地獄の間の世界って、あると

思う?」

結愛の言葉の答え―…

その世界は、なにもない無色の世界だった。

これから一緒に、色をつけていこう。

色は雨の色がいい。

雨は、いろんな物を映し出すから。

その雨の雫に俺の愛も映せるからだよ。


雨。

俺と結愛、ふたりだけの世界。