「はい、マツ」

袋から出したばかりのメロンパンを、マツに

差し出した。

「一口目、もろてえぇんか?」

「気にしなくていいよ~。そんなこと」

「じゃ、もらうで」

パクッと勢いよく食べたマツは、食べた瞬間

に、笑顔になった。

「美味しいでしょ?」

「ほんま、うまい!!」

はいっと、メロンパンを渡される

「俺、メロンパンはまった!!」

明日からは、メロンパンだな~!と、にこに

こしてるマツ。

可愛いんだよね、マツは。

無邪気に笑って、頭良いのに、子供っぽさが

残ってるし。

あたしも、笑顔でメロンパンを食べる。

「カナは、マツ好きだよね~」

ヒロに話しかけられる。

「好きだよ。だって、マツ可愛いし。癒され

るもん」

マツは、前髪をピンクピンをばつ印にして留

めてあって、また可愛い。

ちょっと癖のある髪の毛を、クシャッと撫で

た。

「俺も、カナが好きやで~。もちろん、ダチ

としてやけど」

「あたしも、友達としてだけどね」

「奏歌ちゃん、可愛いからね~」

「夏喜クン、お世辞はいらないよ~?それに

さ、そんなことあたしに言ったら、梨那に殴

られるよ~」

梨那は、嫉妬深いと言うか…夏喜クンが、大

好きだからね。

「…今のは、取り消しでお願いします」

夏喜クンが、ちょっと怯えて言うから、面白

くて笑っちゃった。

「でも、カナは本当に良い子だよ」

「ヒロの優しさには勝てないよ~」

女友達は、ほとんどできてないけど…

今、すっごく楽しい。

夏喜クンは、やっぱり優しいし。

ヒロは、あたしを女の子として、しっかり気

遣ってくれるし。

マツは、可愛いし、面白いし。

尚斗クンは、あたしが何か言う前から、あた

しのために行動してくれる。

「…あたしね、みんなが大好きだよ」

「いきなりどうしたん?カナ」

「ううん。でも、言っときたかった」

「そか。愛の告白やな」

「ちょっと違うけど…そうだよ。愛の告白だ

から」

「なぁ、もう行こうよ。なんか、良い雰囲気

かもしれないけど、視線が痛くないか?」

尚斗クンの声で、周りを見渡す。

…痛い、痛すぎます。

特に、女子の視線が、あたしに集まって。

「早く、食べ終わっちゃお!痛い」

「せやな」

…視線は、痛いけどね。

みんなと一緒にいられて、嬉しいんだ。