。*雨色恋愛【短編集】*。(完)

「奏歌、あげる」

秋山クンの案をもらって、あたしが買ったブ

レスレット。

あたしは、ふたつ。

秋山クンからひとつ。

別の袋に入っている。

「ブレスレット…?」

「左手につけて?」

「なんでひとつだけ、別の袋なの?」

…秋山クンからのプレゼントだからだよ。

けど、言えないから。

だって、秋山クンに口止めされてるし。

「ひとつだけ、すっごい気に入って、他のお

店で買ったからだよ」

「へ~。見ていい?」

「うん」

奏歌は、にこにこと袋を開ける。

「あっ、ほんとだぁ。可愛い♪でも、あたし

はどっちも好きだな~」

にこにこっと、笑いっぱなしの奏歌。

「ねぇ…奏歌?」

もう、辛いことない?

あたしに、言いたいことない?

「もう、あたしに隠し事しないでね…」

「うん。絶対にしない」

「ありがとう」

…奏歌、ひとつ覚えてて。

あたしはね、奏歌の悩みだって、愚痴だって

聞いてあげたいんだよ?

だって、あたしたち親友だから。

「なんでも話すよ」

奏歌、大好き。

だからね…あたしは思うよ。

秋山クンと向き合わなきゃ。

あなたたち、嫌いになって別れたんじゃない

んでしょう?

じゃなきゃ、秋山クンは見舞いに来なかった

と思う。

奏歌も、自殺なんてしようと思わなかったで

しょ?

秋山クンね、奏歌が病院に運ばれた次の日も

来てくれたんだよ?

で、帰り際、俺はもう来れないって言ったん

だ。