「奏歌は!?」

父さんと母さんがくる。

「今、先生が見てるから…」

「奏歌…」

「陽さん!!」

まだ学校だろうけど、梨那ちゃんと、梨那ち

ゃんの震える手を握る男が来てくれた。

…彼氏かな？

「俺、夏喜って言います。梨那の彼氏で…奏

歌ちゃんとも仲良くさせてもらってます。部

活仲間でもあって…」

どんどん暗い表情になる夏喜クンと梨那ちゃ

ん。

…ふたりは、すごく心配してくれてる。

「ありがとう…奏歌は、大丈夫だからな。ま

た、学校で仲良くしてやってくれ」

…大丈夫。

奏歌は、こんなことで死ぬ奴じゃない。

「奏歌は!?」

走りながら、息を切らしてきた男。

見た目、すっげぇチャラいけど…

「まだ…けど、大丈夫だよ」

梨那ちゃんが、気まずそうな顔で言う。

「てめぇ…奏歌ちゃんによく会いに来れたも

んだな!!お前のせいだろ!?」

夏喜クンが、来た男の胸ぐらを掴む。

…もしかして、奏歌の元カレ？

「夏喜クン、離してやれ」

「けどっ…」

「いいから。君、名前は？」

「…奏です」

イケメン分類と思われる奏クンは、うつ向き

ながら話した。

…奏ね。

前、奏歌が寝言で呼んでたな。

…涙を流しながら。

「悪いけど…」