「ただいま~」

まだ、3時ちょいすぎ。

誰もいないだろう、この家に、なぜか妹の奏

歌のローファーがあって。

なんだ、奏歌いるんだ。

遊び行こ~。

最近、奏歌はテンションが低い。

彼氏が…変になったらしい。

んで、奏歌がフラれたそう。

最初は、奏歌を振るなんて、どんな男だ!っ

て思ったけど、奏歌は可愛いし、俺のところ

に戻ってきたからいいかなって思ってる。

あ~、俺…シスコン?

まぁ、それでもいいや。

奏歌は、他の女とは比べられないくらい、可

愛いんだから。

…マジで、可愛いんだよ。

前、奏歌と仲良くしすぎて、彼女に勘違いさ

れて、彼女にフラれたことがあった。

けど、気にしてなかった。

だって、奏歌とカレカノに見えたんだろ?

なら、許す。

別に、奏歌より彼女が好きだったわけじゃな

いし。

「奏歌、俺~」

部屋をノックしても、返事がない。

「入るぞ~」

いないのかな?

あっ、いるじゃん。

寝てんのか?

違う!!

「奏歌!おい、奏歌!!起きろ!!おい!!」

奏歌は、左手首から、血を流していた。

…リストカットかよ。

ふざけんなっ、あの野郎!!

絶対に原因は、奏歌の元カレだ。

「奏歌、死ぬなよ!!今お兄ちゃんが助けてや

るから!!絶対だからな!!」

急いで救急車を呼んで、奏歌を玄関まで運ん

だ。

…軽い。

奏歌、すっげぇ軽い。

…最近、ほとんど食べなかったからだ。

傷も深いし、本当にヤバイ…

「奏歌、死ぬなよ…俺、マジで耐えられない

から」

救急車に乗ってる時も、俺は奏歌の右手を握

ってた。

…不安だった。

ムカついた。

こんなにも奏歌が好きなのに、ここまで追い

詰めてることに気づいてあげられなかったこ

とにムカついた。

…ごめんな、奏歌。

これからは、俺がついてるから。

だから、死なないでくれ…