「奏、帰ろ?」

部活が休みの日。

久しぶりに、ゆっくり奏と話ができる。

「ごめん、奏歌。俺、女の子に呼ばれてるか

ら…先に帰ってて?」

…そっか。

「わかった。また、明日ね」

「うん。ごめんな」

「気にしないで」

…嘘だよ。

気にしてよ。

あたし、寂しいんだよ。

奏と一緒に帰りたかった。

…あたしが、奏に告白は聞いてあげなきゃか

わいそうなんて言ったから、だから、奏と一

緒にいられる時間が減ったのかな?

あたしが…悪いのかな?

…奏、あたし、やっぱ嫉妬深いよ。

信じてれば大丈夫。

なんて、強がりだよ。

気づいてよ、奏。

嫌い。

大嫌い。

こんな、あたし。

あたしは、なんでこんなに惨めなの。

気づいて…なんて、言わなきゃわからないじ

ゃない。

あたし、言葉にしてないよ。

気づいてほしいなら…自分で言いなよ。

なんであたしは、言えないの?

自分にイライラするよ。

あたしは、バカだよ。

好きなら好き。

離れないなら離れないでって、言えばいいの

に。

なんで、あたしは言えないの?

…奏。

こんなあたしは、嫌いですか?

モテて、いろんな女の子が自分を必要として

くれたら…あたしなんて、もう要らない?

ねぇ、奏。

あたしは、好きだよ。

奏が必要だよ。

あたしはね…

奏という、大きな海に、飲み込まれてしまっ

て、もう抜け出せないの…