「奏クン!?」

「あっ、奏歌ちゃん」

「奏歌っ!!あたし、用事あるから先に行くけ

ど、ゆっくり来ていいからね!!」

「えぇっ。あっ、うん」

梨那は、気を使ってくれたのだろうか。

あたしが、奏クンを好きだと思ってるんだも

んね。

まだ、告白されたの言ってないしね。

「…奏歌ちゃん」

「ん?」

「次の授業…さぼれる?」

「えっ…いいけど」

「じゃあ、行こう」

奏クンに誘われて、教室とは逆の方向に歩い

ていく。

奏クンについていく。

「…さぼらせてごめんな」

「大丈夫だよ」

…黙る〜。

話がないよぉ。

どこ行ってるのかわからない。

…あっ。

わかった。

旧館だ。

図書室だ。

旧館の図書室に入ると、奏クンが後ろを振り

返った。

「…ごめん。授業、さぼらせて」

「ううん。大丈夫だよ」

「………」

申し訳なさそうに、奏クンが俯く。

「あと…この前、変なこと言ってごめん」

…この前って、告白のこと?

「…大丈夫」

なに言ってたか、しっかりは聞こえてなかっ

たから。