「うん…でも、遅かったでしょ?」

「う〜ん。ちょっとね。でも、奏歌ちゃんの

気持ちに免じて、許してあげる」

「…奏クン」

「ん?」

「あたしのこと…嫌い?」

なんでこんなことを聞いたんだろう。

わかんないよ…

わかんないけど、気になった。

あたし、おかしい。

最近、ずっと変。

「……嫌い」

………ガーン。

そんなはっきり言いますか〜…

「なわけないでしょ?嫌いな子のために、毎

日こんな時間まで待つわけがない」

「……ほんと?」

「ほんと」

にこって奏クンが笑うから…

あたしも、なにが嬉しいのか、わからないけ

ど笑っちゃったよ。

「奏歌ちゃんは?好きな人、いるの?」

「…わかんない。いないと思う」

それは、本心で。

恋…忘れちゃったのかな?

「じゃあ…俺は?」

「奏クン?」

奏クンか…

「…嫌いじゃないよ」

つい恥ずかしくて。

後ろ向いちゃった。

「ははっ。わかった。ありがと」

2回ほど、あたしは頭を優しく叩かれた。

「一緒に帰ろっか」

「うん」

…なんでだろう。

旧館の図書室で、答えが見つかった?

あたし、今…

奏クンと普通に話してる。

「今日は髪…おろさないの?」

「うん。時間ないからね〜」

「じゃあ、今度時間のある時、縛らせて」

「うん」

その後は、ふたりとも無言だった。

無言だったけど、ふたりで一緒に帰れること

が嬉しくて、無言が辛くなかった。

「送ってくれてありがと。じゃあ、また明日

ね」

家について、中に入ろうとした。

ドアが閉まりかけた時。